腕で測定する血圧では本当の血圧は分からない? [血圧]
なぜ腕で血圧測定をするの?
血圧測定は、腕にカフと呼ばれる空気が入るカフを巻いて病院や自宅で簡単に測定できる方法ですね。
では血圧測定はなぜ腕で測定するのでしょうか?
そんなことは昔から決まっている!と言う声が聞こえてきそうですが、
簡単に言えば人間に血圧があることが発見されてから非侵襲的(体を傷つけないで)に測定する方法として腕での測定が確立されてから、それ以外の測定方式が一般的にならなかったからです。
簡単で、測定される人にも負担の少ない測定法といえるからでしょう?
それではこの腕による血測定(以後上腕血圧)の意味はあるのでしょうか?
答えはあると言えます。
現在の上腕血圧計が発明されてから100年が経っておりますが、その間の測定データの蓄積が現在の診断基礎となっているからです。
それらデータから脳、心疾患と高血圧の関係や予後の有用性から現在の血圧診断基準が設定されております。
しかしあくまでも腕の血圧であり脳や心臓の血圧とは違うことも事実です。
人間の血圧は当然のことながら心臓が拍動するポンプの動作から全身へ血圧が発生しているので心臓に近い血圧を診ることができれば心臓に近い脳や腎臓そして心臓などの重要な臓器との関連性もより強く現れるのではないでしょうか?
中心血圧とは?
実は、このような研究はかなり以前からされており、心臓付近の血圧が上腕血圧よりも臓器疾患と関連性が強いと言われております。1
この血圧を中心血圧と言い測定される場所は心臓から駆出された直後の血圧となります。
中心血圧と上腕血圧は別物である!
心臓から発生する中心血圧は人間の血管を伝わりながら上腕の血圧が発生しますが、心臓から腕へと伝わる
血管は心臓からの距離や構造的な違いから脈波の駆出成分が増大することで、中心血圧より上腕血圧の方が
高くなると言われており、また脈波と言われる脈の形も中心と上腕では異なります。
このことから上腕血圧だけを診ても中心血圧を反映しているとは言えず中心血圧の代用にはならないのです。
しかし直接中心血圧を測定するとなると現在の医学では、カテーテルと呼ばれる管を血管内に挿入して心臓付近まで近付けなければ測定することができず、侵襲的(体に傷をつける)測定法となってしまいます。
中心血圧測定装置
しかし現在では非侵襲的に上腕血圧または手首の橈骨動脈測定をしながらこの中心血圧を推定することができる装置があります。
上腕や橈骨動脈を測定した脈から伝達関数と言う関数式を用いることで中心血圧を推定する方式になります。
これら装置によって血圧測定の要領で簡単に中心血圧の測定ができるようになりました。
また数多くの研究データも蓄積され臨床的な有用性も示されております。
中心血圧の有用性
一般住民10年間の心血管疾患死亡と中心血圧を測定した研究では心疾患死亡リスクは上腕血圧より中心血圧や中心脈圧が独立したリスクとなったとの報告があります。2,3
また上腕血圧値から高血圧診断をされた場合降圧剤を処方されることがあると思いますが、降圧剤によって上腕と中心血圧での効果に違いがあるとの報告が言われております。4
さらに中心脈波から体の中心にある大動脈と呼ばれる血管の動脈硬化を診ることができます。
これは心臓から駆出された脈波が大動脈下部で反射と飛ばれる波となり心臓に戻ることから中心動脈波形の成分であるAP(増大脈波)と呼ばれる部分に現れます。
この波形が高くなるとその分、心臓への負荷となり左室肥大などを生じると言われております。
その様な意味で考えると中心血圧を診ると言うことは血圧をより細かく診ることになると言えるかもしれません。
一方で、中心血圧は上腕血圧のように診断基準が確定されおらず今後の研究に期待されます。
また測定に用いている伝達関数が個人差で違うとこや、校正に用いる血圧値の精度の問題などもあるようですが今後もこれら中心血圧の研究が進むことでさらに有用性が求められ診断に活用できることが望まれます。
1 Williams B etal:J Hypertens 27:1123,2009 2 Wang KL etal:JHyPertens 27:461,2009 3 JankowskiP etal:HyPertension 51:848,2008 4 de Luca N etal:1Hypertens 22:1623,2004
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血圧測定は、腕にカフと呼ばれる空気が入るカフを巻いて病院や自宅で簡単に測定できる方法ですね。
では血圧測定はなぜ腕で測定するのでしょうか?
そんなことは昔から決まっている!と言う声が聞こえてきそうですが、
簡単に言えば人間に血圧があることが発見されてから非侵襲的(体を傷つけないで)に測定する方法として腕での測定が確立されてから、それ以外の測定方式が一般的にならなかったからです。
簡単で、測定される人にも負担の少ない測定法といえるからでしょう?
それではこの腕による血測定(以後上腕血圧)の意味はあるのでしょうか?
答えはあると言えます。
現在の上腕血圧計が発明されてから100年が経っておりますが、その間の測定データの蓄積が現在の診断基礎となっているからです。
それらデータから脳、心疾患と高血圧の関係や予後の有用性から現在の血圧診断基準が設定されております。
しかしあくまでも腕の血圧であり脳や心臓の血圧とは違うことも事実です。
人間の血圧は当然のことながら心臓が拍動するポンプの動作から全身へ血圧が発生しているので心臓に近い血圧を診ることができれば心臓に近い脳や腎臓そして心臓などの重要な臓器との関連性もより強く現れるのではないでしょうか?
中心血圧とは?
実は、このような研究はかなり以前からされており、心臓付近の血圧が上腕血圧よりも臓器疾患と関連性が強いと言われております。1
この血圧を中心血圧と言い測定される場所は心臓から駆出された直後の血圧となります。
中心血圧と上腕血圧は別物である!
心臓から発生する中心血圧は人間の血管を伝わりながら上腕の血圧が発生しますが、心臓から腕へと伝わる
血管は心臓からの距離や構造的な違いから脈波の駆出成分が増大することで、中心血圧より上腕血圧の方が
高くなると言われており、また脈波と言われる脈の形も中心と上腕では異なります。
このことから上腕血圧だけを診ても中心血圧を反映しているとは言えず中心血圧の代用にはならないのです。
しかし直接中心血圧を測定するとなると現在の医学では、カテーテルと呼ばれる管を血管内に挿入して心臓付近まで近付けなければ測定することができず、侵襲的(体に傷をつける)測定法となってしまいます。
中心血圧測定装置
しかし現在では非侵襲的に上腕血圧または手首の橈骨動脈測定をしながらこの中心血圧を推定することができる装置があります。
上腕や橈骨動脈を測定した脈から伝達関数と言う関数式を用いることで中心血圧を推定する方式になります。
これら装置によって血圧測定の要領で簡単に中心血圧の測定ができるようになりました。
また数多くの研究データも蓄積され臨床的な有用性も示されております。
中心血圧の有用性
一般住民10年間の心血管疾患死亡と中心血圧を測定した研究では心疾患死亡リスクは上腕血圧より中心血圧や中心脈圧が独立したリスクとなったとの報告があります。2,3
また上腕血圧値から高血圧診断をされた場合降圧剤を処方されることがあると思いますが、降圧剤によって上腕と中心血圧での効果に違いがあるとの報告が言われております。4
さらに中心脈波から体の中心にある大動脈と呼ばれる血管の動脈硬化を診ることができます。
これは心臓から駆出された脈波が大動脈下部で反射と飛ばれる波となり心臓に戻ることから中心動脈波形の成分であるAP(増大脈波)と呼ばれる部分に現れます。
この波形が高くなるとその分、心臓への負荷となり左室肥大などを生じると言われております。
その様な意味で考えると中心血圧を診ると言うことは血圧をより細かく診ることになると言えるかもしれません。
一方で、中心血圧は上腕血圧のように診断基準が確定されおらず今後の研究に期待されます。
また測定に用いている伝達関数が個人差で違うとこや、校正に用いる血圧値の精度の問題などもあるようですが今後もこれら中心血圧の研究が進むことでさらに有用性が求められ診断に活用できることが望まれます。
1 Williams B etal:J Hypertens 27:1123,2009 2 Wang KL etal:JHyPertens 27:461,2009 3 JankowskiP etal:HyPertension 51:848,2008 4 de Luca N etal:1Hypertens 22:1623,2004
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タグ:中心血圧
2015-12-25 19:22
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