血圧計の選びかた [血圧]
血圧の歴史
1600年代初めにイギリスの医師によって馬の頸動脈にガラス管を刺してガラス管の中を上昇、下降する血液からはじめて体に血液の循環があることを発見しました。
その後、体に傷を付けずに血圧測定が行えるまでには実に100年が経過してからになります。
血圧に関して詳しくは以前書いた記事《 血圧の話 》を参考にしてください。
血圧計とは?
最近では、血圧計も家電製品として店頭にもたくさん並べられており種類や価格もかなりあるので、購入しようとされる方は、何を基準に選べば良いのか迷うところでは無いでしょうか?
そこで血圧計について今回は話してみようと思います。
血圧計とは血圧を測定する機器で名前の通りですが、大きく分けて2種類あると考えられます。
一つは、病院などで医師や看護師さんが測定するときに使用する水銀血圧計と言われるタイプと一般に家庭で普及している自分でカフを腕または手首に巻いてボタンを押すと自動で測定する電子血圧計と言われるタイプになります。
これらは、測定方式による違いで分かれます。
血圧計の原理
聴診法
水銀血圧計と聴診器を用いて測定する方法で、主に病院で医師や看護師に測定してもらうことになります。
原理は、上腕に巻いたカフに空気を送り最高血圧以上の加圧をします。この時カフが巻かれた腕の血管は上腕血圧値以上の圧力が加わった時には、血管が閉塞(つぶれた)状態で血流が止まった状態になります。
加圧した圧力を排気弁と呼ばれる(バルブ)を微妙に開きながらカフの圧力を徐々に抜くと、血管に加圧された圧力が減少し血圧によって血管が開き血液が流れだすとコロトコフ音と呼ばれる音が発生します。この音を聴診器で聞こえた時の血圧計の圧力が最高血圧値となります。
さらにカフの圧力を抜いていくとコロトコフ音が消失する時の圧力を最低血圧となるのです。
ロシアの外科医によって発見されたこのコロトコフ音を聴き血圧測定をする方法が現在でも血圧測定法の基本とされております。
オシロメトリック法
一方、オシロメトリック法と呼ばれる測定方式は、カフを加圧した時に拍動によって振動(oscillation )がカフ内に発生することを利用した測定になります。
物理的にこの振動は血管に加わるカフ圧力と平均血圧値が、ほぼ同じ時に最大振動が発生することが分かっております。
ただこのオシロメトリックで測定できる値は、平均血圧値のみと言われており最高血圧値や最低血圧値を測定することはできないのです。
ではどのように血圧値を機器は求めているのかと言うと、平均血圧値を基準に、最高、最低血圧値付近の振動と聴診法で得られたデータから測定値を決定するアルゴリズムを用いて決定しているのです。
これは血圧計メーカ―がそれぞれ独自のアルゴリズムを用いているため決定値の根拠はメーカー別に違うので良くわからないのが実際のところです。
ただ、聴診器を使用せずカフのみで測定できることから一般の家庭向け血圧計から現在は病院で使用する血圧計まで広く採用されております。
血圧計の精度は
電子血圧計の精度も聴診法との比較をして精度が決められておりますので、電子血圧計として販売されているものは精度の規格が通っていることになります。
この規格は評価基準としてはAAMIと呼ばれる米国規格を用いることが多く精度範囲は聴診法と平均値が±5mmHg以内で標準偏差±8mmHgの規格の範囲があります。
標準偏差は、ばらつきを表しますので電子血圧計は±8mmHg程度のばらつきがあるのは許容範囲となり、この程度の誤差は電子血圧計では普通にあることになります。また、測定する人によってはさらに誤差が増すとも言われております。
電子血圧計のカタログ等に書いてある圧力精度3mmHgと書いてあることがありますが、あくまでも圧力精度であり測定精度ではありません。
血圧値の基準とされる値は139mmHg以下で140mmHg以上から高血圧と診断されてしまいます。一定のばらつきがある電子血圧計で測定した値も血圧分類上1mmHgの違いで正常、異常の判定がされてしまうことに少々疑問を感じてしまうのは私だけでしょうか?
ちなみに血圧計に関する日本高血圧学会の見解は規格の通った機器を使用することを進めており、電子式血圧計では上腕式としております。
手首式を推奨していない理由としては、橈骨動脈(とうこつどうみゃく)と呼ばれる血管を駆血して測定するのですが、人によっては動脈の周りにある腱などの違いによってしっかり駆血されないことや測定するときの手首の高さなど測定誤差の要因があるためです。
血圧計の選び方
それでは、各社色々なタイプがある血圧計のどれを選べば良いかと言うと、結論はどれでも良いと言うことになります。
つまり血圧計と呼ばれる機器は精度において規格を満たしたものしか現在は販売されてせんので、価格が高いからと言ってものすごく測定精度が良いと言うことでは基本的に無く、後は好みで選んでもらえれば良いと言うことです。
価格で言えば表示が大きいとかメモリ数が多いとかスマホと通信ができるなど機能が追加されることで価格帯に幅があると言う程度になります。
車で言えば、価格帯の高いモデルになるほど利益が出るのと同じで、血圧計もたくさんの機能がある高いモデルの血圧計を買ってくれるお客さんはメーカー的にはありがたいのです。
血圧を測るだけで良いのであれば、安い物で十分と言えます。
それでも色々と機能を検討したい方は家庭用血圧計の価格帯別に比較した以下サイトを参考にしてみてください。
家庭用血圧計選びで大切な3つのポイントとは?
引用 日本高血圧学会 文献 Mixter,G.Jr:Respiratory augmentation of inferior vena caval flow demonstrated by a low-resistance phasic flowmeter,Am.Physiol.,172,pp.446/456(1953) 生体用センサと計測装置 コロナ社
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1600年代初めにイギリスの医師によって馬の頸動脈にガラス管を刺してガラス管の中を上昇、下降する血液からはじめて体に血液の循環があることを発見しました。
その後、体に傷を付けずに血圧測定が行えるまでには実に100年が経過してからになります。
血圧に関して詳しくは以前書いた記事《 血圧の話 》を参考にしてください。
血圧計とは?
最近では、血圧計も家電製品として店頭にもたくさん並べられており種類や価格もかなりあるので、購入しようとされる方は、何を基準に選べば良いのか迷うところでは無いでしょうか?
そこで血圧計について今回は話してみようと思います。
血圧計とは血圧を測定する機器で名前の通りですが、大きく分けて2種類あると考えられます。
一つは、病院などで医師や看護師さんが測定するときに使用する水銀血圧計と言われるタイプと一般に家庭で普及している自分でカフを腕または手首に巻いてボタンを押すと自動で測定する電子血圧計と言われるタイプになります。
これらは、測定方式による違いで分かれます。
血圧計の原理
聴診法
水銀血圧計と聴診器を用いて測定する方法で、主に病院で医師や看護師に測定してもらうことになります。
原理は、上腕に巻いたカフに空気を送り最高血圧以上の加圧をします。この時カフが巻かれた腕の血管は上腕血圧値以上の圧力が加わった時には、血管が閉塞(つぶれた)状態で血流が止まった状態になります。
加圧した圧力を排気弁と呼ばれる(バルブ)を微妙に開きながらカフの圧力を徐々に抜くと、血管に加圧された圧力が減少し血圧によって血管が開き血液が流れだすとコロトコフ音と呼ばれる音が発生します。この音を聴診器で聞こえた時の血圧計の圧力が最高血圧値となります。
さらにカフの圧力を抜いていくとコロトコフ音が消失する時の圧力を最低血圧となるのです。
ロシアの外科医によって発見されたこのコロトコフ音を聴き血圧測定をする方法が現在でも血圧測定法の基本とされております。
オシロメトリック法
一方、オシロメトリック法と呼ばれる測定方式は、カフを加圧した時に拍動によって振動(oscillation )がカフ内に発生することを利用した測定になります。
物理的にこの振動は血管に加わるカフ圧力と平均血圧値が、ほぼ同じ時に最大振動が発生することが分かっております。
ただこのオシロメトリックで測定できる値は、平均血圧値のみと言われており最高血圧値や最低血圧値を測定することはできないのです。
ではどのように血圧値を機器は求めているのかと言うと、平均血圧値を基準に、最高、最低血圧値付近の振動と聴診法で得られたデータから測定値を決定するアルゴリズムを用いて決定しているのです。
これは血圧計メーカ―がそれぞれ独自のアルゴリズムを用いているため決定値の根拠はメーカー別に違うので良くわからないのが実際のところです。
ただ、聴診器を使用せずカフのみで測定できることから一般の家庭向け血圧計から現在は病院で使用する血圧計まで広く採用されております。
血圧計の精度は
電子血圧計の精度も聴診法との比較をして精度が決められておりますので、電子血圧計として販売されているものは精度の規格が通っていることになります。
この規格は評価基準としてはAAMIと呼ばれる米国規格を用いることが多く精度範囲は聴診法と平均値が±5mmHg以内で標準偏差±8mmHgの規格の範囲があります。
標準偏差は、ばらつきを表しますので電子血圧計は±8mmHg程度のばらつきがあるのは許容範囲となり、この程度の誤差は電子血圧計では普通にあることになります。また、測定する人によってはさらに誤差が増すとも言われております。
電子血圧計のカタログ等に書いてある圧力精度3mmHgと書いてあることがありますが、あくまでも圧力精度であり測定精度ではありません。
血圧値の基準とされる値は139mmHg以下で140mmHg以上から高血圧と診断されてしまいます。一定のばらつきがある電子血圧計で測定した値も血圧分類上1mmHgの違いで正常、異常の判定がされてしまうことに少々疑問を感じてしまうのは私だけでしょうか?
ちなみに血圧計に関する日本高血圧学会の見解は規格の通った機器を使用することを進めており、電子式血圧計では上腕式としております。
手首式を推奨していない理由としては、橈骨動脈(とうこつどうみゃく)と呼ばれる血管を駆血して測定するのですが、人によっては動脈の周りにある腱などの違いによってしっかり駆血されないことや測定するときの手首の高さなど測定誤差の要因があるためです。
血圧計の選び方
それでは、各社色々なタイプがある血圧計のどれを選べば良いかと言うと、結論はどれでも良いと言うことになります。
つまり血圧計と呼ばれる機器は精度において規格を満たしたものしか現在は販売されてせんので、価格が高いからと言ってものすごく測定精度が良いと言うことでは基本的に無く、後は好みで選んでもらえれば良いと言うことです。
価格で言えば表示が大きいとかメモリ数が多いとかスマホと通信ができるなど機能が追加されることで価格帯に幅があると言う程度になります。
車で言えば、価格帯の高いモデルになるほど利益が出るのと同じで、血圧計もたくさんの機能がある高いモデルの血圧計を買ってくれるお客さんはメーカー的にはありがたいのです。
血圧を測るだけで良いのであれば、安い物で十分と言えます。
それでも色々と機能を検討したい方は家庭用血圧計の価格帯別に比較した以下サイトを参考にしてみてください。
家庭用血圧計選びで大切な3つのポイントとは?
引用 日本高血圧学会 文献 Mixter,G.Jr:Respiratory augmentation of inferior vena caval flow demonstrated by a low-resistance phasic flowmeter,Am.Physiol.,172,pp.446/456(1953) 生体用センサと計測装置 コロナ社
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2015-08-28 16:54
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